こんな方におすすめ
- これからTOEICを勉強しようとしているアメリカでエンジニアになりたい方
- 現在進行形でTOEICを勉強しているアメリカでエンジニアになりたい方
日本で英語の資格というとTOEICですよね。私も日本にいるときに何度か受験しました。企業の中にはTOEICである程度の得点を持っていることを採用基準にしているところもあるくらい日本ではとてもメジャーな資格です。
TOEICは英語を仕事で使う人の能力を計るためのテストという位置づけなので企業もそれに沿って採用活動をしているのだと思います。
私は12年間アメリカでソフトウェアエンジニアをしていますが、ふと素朴な疑問が浮かびました。それは、アメリカでエンジニアをする上でTOEICのスキルが使えるor必要なのかということです。
今回はその疑問について自分なりの考察を書いてみます。
そもそもアメリカでTOEICは有名なのか
日本でこそメジャーなTOEICですが、アメリカに来てからは実はあまり聞いたことがありません。日系・米系を問わず、アメリカで就職活動をするときに TOEICのスコアが必要 なんて聞いたことがありません。なぜかというと、そもそも応募者は英語を話せるのが前提だからです。
そして面接官も当然英語を話せるので、10秒も話せばその会社で通用するかどうかがわかります。TOEICの結果がなくても英語スキルがわかるのです。
なので間違ってもアメリカで面接を受けるときにTOEIC900点持っています!なんて言わないほうがよいです。スコアよりもその場で受け答えができることが重要です。下手したら面接官がTOEICの存在を知らない可能性もあります。
アメリカで働くのにTOEICスコアは必要か
TOEICスコアが必要かどうかは、どのようなパスでアメリカで働くかによります。日本で就職して米国駐在を狙うなら、TOEIC高得点は採用される確率があがるのでぜひとも頑張ったほうが良いです。
ただし、誤解を恐れずに言うとTOEICは採用面接のための試験と思っておいた方がよいです。TOEICでハイスコアを持っていても現場ではそれほど役には立ちません。
理由を説明する前に一般的な言語スキルについてお話しします。言語スキルは大きく4つに分かれます。
4つのスキル
- 話す(スピーキング)
- 書く(ライティング)
- 聞く(リスニング)
- 読む(リーディング)
このうち話す、書くは自分がアウトプットすることで、聞く、読むはインプットすることです。
TOEICのテストでは聞く、読むのテストしかないので、話す、書く能力が培われないのです。仕事の大部分を占めるのはアウトプットです。会社は社員が生み出した価値(アウトプット)に対してお金を払います。アウトプットがない仕事なんて存在しません。
したがってたとえTOEICでハイスコアを持っていても、言語スキルでいうと半分、仕事で必要なスキルでいうと厳しく見積もって3分の1程度の能力しか計ることができません。
それがTOEICハイスコアが現場であまり役に立たないと思う理由です。
アメリカでエンジニアをするのにTOEICが必要か
上でアメリカで働くのにTOEICはあまり必要ないといいましたが、それは職業全般的な話です。エンジニアという職業においてはどうでしょうか。
エンジニア、特にプログラマという意味で言うと仕事における最大のアウトプットはプログラミングです。プログラミング言語は世界共通なのでアメリカだから特別な何かを勉強する必要はありません。日本でのスキルがそのまま使えます。
ではアメリカ特有のことと言ったら何かというと、英語の仕様書を理解する能力です。また、ネットでの調査は英語が基本です。それは日本のサイトを見ればいいじゃないかという声が聞こえてきそうですが、同僚からシェアされるリンクは英語ですし、そもそも日本語サイトと英語サイトの数が違いすぎて調査スピードが格段に違ってきます。
環境もそうですね。サーバがWindowsなどGUI系であればOSの言語設定は英語なので、読めないと作業ができません。
先ほどTOEICは聞く、読む能力の向上に役立つと言いました。つまりエンジニアとして働くにはTOEICスキルは有用という結論になります。
ちょっと待ってください。それはNoです。
もっと上流のエンジニアやコンサルよりのエンジニアになってくると話は別です。ミーティングで発言する必要がありますし、英語スピーカーに仕様を伝える側になるためです。つまり話したり書いたりすることが増えてくるため、TOEIC的なスキルだけではこなせなくなります。
一般的にエンジニアはプログラマから始まり、コンサル系に上っていく人が大多数です。したがって、現時点で話す、書くことに自身がない人はプログラマのうちからアメリカに来て、エンジニアとしてのスキルアップとともに英語もスキルアップさせ、自然に上流工程に携わるようになるというのが一番スマートな方法かと思います。
どうすればアウトプットスキルが養えるか
インプットは日本にいても割と簡単に磨き上げることができますがアウトプットはどうやって学べばよいでしょうか?
英語圏で生活をする
習うより慣れろです。アメリカで生活をしていれば嫌でも英語を話すし、書きます。
アメリカじゃなくても英語圏であればよいと思いますが、欲を言えばその国や場所で圧倒的に一番話されているのが英語であるところにしたほうがよいです。確かにアジアでも英語を話す国はありますが、英語と同じくらい他の言語も話します。つまり熟練度というか使用している言葉の濃度やスピードにおいて劣ってしまいます。
そうするとアメリカ、イギリス、オーストラリアあたりになると思います。
TOEFLの勉強をする
私が一番オススメしたいのがこれです。TOEFLの勉強は日本でも可能です。
TOEFLは学術要素の強いテストで、アメリカで外国人が大学のプログラムを受講するときなどに必要となります。
TOEFLのテストは読み、書き、話し、聞き、の4スキル全てが試されます。IBTというインターネットでの受験だと1スキルにつき30点満点で、フルスコアで120点満点となります。
私が受講したUCLAのマーケティングプログラムは2011年当時で80点が必要でした。この場合、仮に読みと聞きが満点の60点でもあと20点を話しか書きで稼がなければなりません。なので全方位に言語スキルが必要になるのです。
私は渡米時のTOEICスコアが600点で、それからTOEFLの勉強を始め、80点をとるのに8か月かかりました。言いたいことはわかります。かかりすぎですよね。普通なら4,5か月でとれると思います。
ここで多くの時間を使ってしまいましたが、最初の段階で言語4スキルを学べたことで結果、スムーズにアメリカで働き始めることができました。
アメリカで生活を始めるのに全くTOEICが必要ないのか
アメリカで働くにはまず、アメリカで暮らし始めなければなりません。ではアメリカで暮らすためにTOEICは必要でしょうか?
TOEICのスコア自体は意味がないですが、勉強をすることには2つの大きな意味があります。
聞く、読む能力の向上
話す、書く能力は上がらなくとも、聞く、読むの二つの能力は養われます。
町中にある看板、商品の説明、バスの車内案内など、聞く、読む能力が必要な場面はたくさんあります。とりあえず理解することができれば身振り手振りでコミュニケーションをとることはできます。
自信がつく
TOEICは結果が出やすいです。例えば留学することを決めて、渡米まであと3か月あるとしたらTOEICの勉強をしてください。
TOEFLのほうがいいのでは?と思うかもしれませんが、TOEFLはそんなにすぐに点数はあがりません。自信喪失状態で渡米するくらいならTOEICで100点くらいスコアを上げておりゃー!という感じで来たほうが気持ち的なスタートダッシュをかけやすいです。
まとめ
いかがでしたか?タイトルの質問に立ち戻って、アメリカでエンジニアをするのにTOEICのスコアが必要か?という問いに対しては私が答えるとするならば、不要という結論です。
しかし、アメリカで生活をするという意味では役に立つ場面もあります。
今現在TOEICを勉強している方はやめる必要は全くありません。むしろ続けてください。ただしアメリカでエンジニアをしたいのであればそれだけでなくアウトプットの勉強もしっかりしてください。
みなさまの夢がかなうことを切に願っています!アメリカのどこかで会えることを楽しみにしています!